住宅ローン金利の仕組みと今後の見通しは
変動金利の仕組み 変動金利は住宅ローンの基本 短期プライムレートを基準に決まる
多くの民間金融機関の住宅ローンは変動金利がベースになっています。
変動金利の住宅ローンに対して「特約」で固定金利を一定期間選択するという形式が多いですね。
ですので、特約の固定金利期間が終了すれば原則的に変動金利に戻る訳です。
契約時に金利の優遇幅を決めておくので、変動・固定それぞれに対して選択時点での店頭金利から優遇された金利が実際には適用されることになります。
それでは変動金利は何を基準に決まるのでしょうか。
それは各銀行の「短期プライムレート」という金利をベースに決定されています。
また、「短期プライムレート」は「日銀の政策金利(2016年から−0.1%)」をベースに決定されています。(最終的に各銀行の営業施策によって優遇幅で競合していきます)
2022年11月現在、メガバンクでは1.475%ですが、地方銀行等ではやや高い傾向にあるようです。
この短期プライムレートに1%程度を上乗せした金利が実際の変動金利の店頭金利となっていますので、出来上がりで「2.475%〜2.675%」程度が多いですね。
日銀が公表している各銀行の短期プライムレートの最頻値は2009年から変わっていません(1.475%)。
日本ではマイナス金利政策が継続しており、利上げは当面しないようですが、インフレ対策のため各国の利上げによって円安が生活を直撃しており、今後見直しがある可能性もあります。
固定金利の仕組み 特約で一定期間固定化すること 10年国債利回りを基準に決まる
では固定金利は何を基準として決定されるのでしょうか。
それは「10年国債利回り」を基準に各銀行が決定します。
2022年11月時点の10年国債利回りは0.25%程度で推移しています。
ちなみに1年前の2021年11月頃の10年国債利回りは0.10%程度、
5年前の2017年11月時点の10年国債利回りは0.06%程度ですから、長期固定金利は徐々に上昇圧力が強まっていることが分かります。
債券価格は政策金利と異なり、市場で決まりますので、今後の「予想」「思惑」として利上げの可能性が高いと判断されていることから、変動金利に先んじて上昇していくことになります。
※金利を上げるため(金融緩和の終了)→日銀が国債を買う量を減らす(お金の流通を減らす)→債券の価格が下がる→債券の利回りが上がる
メガバンクでは10年固定金利で約3.5%程度の店頭金利になっています。(ここから優遇)
今後の住宅ローン金利はどうなる?見通しは?変動金利と固定金利は分けて考えるべき
では、今後の住宅ローン金利はどうなるのでしょうか。
以下のポイントを整理して検討してみましょう。
①変動金利はマイナス金利政策が解除されれば上がる
→マイナス金利が解除されるかは景気の回復次第
→日銀は現在、解除する方向にはない
→景気次第
②固定金利は金利が上がる予想に基づいて上がる
→マイナス金利が解除されるとの見通しに基づいて上がる
→インフレを背景に各国が利上げに踏み切っていることも要因
→これ以上の金融緩和は考えづらく、当面高い水準で推移〜じわじわと上がる可能性が高い
③各自のライフサイクルに基づいて決める
変動金利は金利上昇のリスクがあり、固定金利は一般に変動金利よりも金利が高い傾向にあります。
また、固定金利は固定金利特約期間終了後に金利が上昇しているリスクもあります。
金利上昇局面の直前に固定金利を選択すればベストですが、普通はそこまで毎日のように金利に注目しませんよね。
つまるところ、ライフサイクルに合わせて金利を選択することがベストではないにしろ、ベターかつ金利に振り回されない選択になると思います。
退職金で返済する予定があるのであれば退職時まで納得出来る水準で金利を固定化出来れば収支は計算しやすいですよね。
また子育て中で教育費負担があるから、今は出来るだけ低い変動金利でという選択もありだと思います。
要はリスクと金利の仕組みを把握した上で選択することでどちらを選んでも無用な心配をする必要は少なくなります。
金利が今度どうなるかは誰にも分かりません。しかし仕組みを知ることで漠然とした不安から解放され、充実した人生が送れれば良いですね。